file #6
まともでいるための手段
女性(年齢非公開) 日本在住公開日:2021年8月8日
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Reading by Cana
初めて吸ったのは、その時付き合ってた彼氏が吸ってたからってだけかな。彼が吸ってても、なんか別に悪いものとは思ってなかったし。違法ってことは知ってましたけどね。良いとか悪いとかあまり気にせず、「ああ、そうですか」って感じでしたね。そういうのは個人の自由だと思ってたので。
で、「一回吸ってみる?」って言われて、じゃあ吸ってみようかなって。別に軽いと言うか、重たい感じはしませんでした。タバコも吸ってるし、吸うってことに対してあまりハードルは高くなかったですね。「こんなもんですか」って感じでした。常にあるわけじゃなかったので、あったらまぁ吸おうかなぐらいの感覚でした。
その彼氏はオーストラリア人だったのですが、国に帰るってなったんで私も行ったんですよね。そこでも違法でしたけど、めちゃくちゃ大麻が身近にあったんですよ。
そん時は毎日吸いすぎて、逆に「もういいわ!」ってなりましたね。日本では忙しくしてたのに、こっちにきたら仕事もうまく決まらなくて、すごくのんびりになっちゃって。今思うとめっちゃいい生活でしたけど。
頼る人は彼氏と彼氏の家族しかいなくて、遊ぶのも近所の友達でした。10時ぐらいに起きて、サーフィンして、昼から飲んでWEED吸って。夜になったらまたWEED吸ってみたいな。なんかこの堕落っぷりにいっぱいいっぱいになりましたね。この生活は一体どこに向かうんだって。
別にそんな「吸いたい!」とはならなかったし、付き合い程度で吸ってましたね。日本に帰ってからは別にツテもなかったし、吸わないでも平気でした。海外に行ったら吸えるところで買って吸うみたいな感じで、まぁ1年に1,2回吸う程度でした。
依存はたばこのほうがやばいですよね。たばこは今も吸ってますけど、やめれたのなんて1年半くらいしかなかったですよ。
最初の体験としては、みんなみたいに「うつがよくなった」みたいのはなかったですね。
でもその後しばらくして、ベーチェット病(※)って言われたんですよね。人によって症状が色々あるみたいで、口内炎ができたり、陰部が腫れたり、失明したりみたいな。
私の場合は陰部がめちゃくちゃ腫れてきて、最初産婦人科にかかったら「えぐれてますよ」って言われて。大きな病院を紹介されて行ったら、はじめはヘルペスって言われたんですよね。
それで薬をもらったんですけど、風邪っぽかったのでついでに内科もかかったんですよ。そしたら熱が39℃あって。自分では気づかなかったんですけどね。インフルエンザかと思って検査したら違くて。
そしたらどんどん陰部が腫れてきて、歩けないぐらいになっちゃって、もう擦れただけでも痛くて。で検査したら、ベーチェット病かもしれないって言われたんですよね。
2週間ぐらい熱出て、まぁ良くなっていったって感じでしたね。それから皮膚科行くように言われたんで行ったら、ほぼベーチェット病だと思うので、この薬を一生飲んで下さいって言われたんですよ。
症状が良くなったらもう飲まなくてもいいって思ってたんですよね。他の病院もかかったら、みんなどうしていいか分からないみたいで。明らかに症状があれば薬は飲んでもらいたいけど、結局診断も「ベーチェット病疑い」だったので、それじゃどうしようもないって感じで言われました。
その時海外のサイトで調べたんですよ。そしたら大麻に抗炎症作用あるじゃないですか?だからもうこれでいこうと思って。症状が出ないように予防的に使おうってなりましたね。
飲んでた薬が2,3個あったんですけど、少しずつ減らしていきました。
もう1年半になるかな?今のところ症状は出てないし、大丈夫そうですね。まぁ原因は定かじゃなかったし、効いてるか効いてないかは分からないですけどね。
薬よりはいいですね。なんか処方された薬が、痛風の人が飲むやつだったんですよ。その薬調べてみたら、奇形児が生まれるリスクがあるってあったんです。子供産む産まないとか関係なく、そんなリスクがあるものを飲んでていいのかなってなりました。それでめっちゃ気になって飲むのやめましたね。
なんかこのクソみたいな世の中で、政治もくさってたりとかして、みんなどうやって正気を保ってられるのかなって。
テレビは見ないですけど、ヤフーニュースとか本当しょうもないニュースばかりじゃないですか。コメント欄でも投稿者同士が争ってたりして。なんかわかります?この「社会のゆがみ」みたいなもの。
だから友達とも話すんです。もうWEEDがなくてどうやって生きていくんだって。現実がひどすぎるから、もう正気を保つために吸わなきゃやってられないだろって。
吸ってる間は、社会問題とか世間のこととか忘れて、なにか違うものに没頭できるんですよね。例えば音楽聞いたり、映画みたりとか。そっちに集中できるんです。
私はお酒飲まないですけど、飲む人はめっちゃ飲んで次の日二日酔いになるじゃないですか。何があんな楽しいのって思います。大麻じゃそんなんにならないぞって。
こんなコロナ下でもわざわざコンビニとかお店でお酒買って、公園で飲んだりして。そんだけみんな忘れたいこととかあるんじゃないかなって思うんですよ。疲れちゃったから気分を変えたいとか。そういう理由でお酒飲んでるんですよね。
そう考えたらみんな病んでるじゃないですか。若者のあの異常な酒の飲みっぷりとか見てると、もう社会がイカれてるとしか思えないんですよね。
お酒より大麻のほうがいいですよね。何もアレルギーがないのであれば100%すすめますね。そんな選択肢があるなら。
大麻撲滅プロジェクトチームとか、なんかもうめげますよね。みんな結構大麻のこと分かってきてるのに、国がそんなわけわからないことしてるのは辛いですよ。
国会議員の人たちもお酒は飲むでしょうけど、大麻のことはまあ知らないじゃないですか。みんな勉強していい大学出てるんでしょうけど。なんか窓口狭いですよね。
大麻使用罪はほんと危ないですよね。例えば嫌いな人に大麻入れたクッキーとか食べさせて、んでチクったら検出されて逮捕みたいな。あとは交通事故起こして、尿検査されたらとか。
吸ったことない人からしたら、きっとただの悪だし、そういうのはどんどん見つけて欲しいのかもしれないですけど。こっちからしたらほんとやめてって感じです。なんかそこまで生活に立ち入られる筋合いあるのかなって。
大麻はこの息苦しい世の中で、唯一まともでいられるための手段みたいな感じですね。それ以上でもないし、それ以下でもない。今のところは医療的恩恵も受けてるし。
やっぱただの植物なのに、こんな幅広く癒やす力があって、本当素晴らしいですよね。吸っても食べてもいいし。
生活にあったほうがいいものですよ。猛毒じゃないんだから。嗜好用としても、医療の選択としても。とにかく禁止されるような植物じゃないと思います。
※ベーチェット病とは?
全身に炎症を引き起こす指定難病。主症状は口腔内や陰部の潰瘍、眼のぶどう膜炎、紅斑や皮疹といった皮膚症状。原因は明らかになっていないが、遺伝的要因が指摘されている。
明確な治療法は確立しておらず、基本はステロイド軟膏や内服薬が用いられる。進行期には免疫抑制剤も使用される。
詳しくは指定難病センター参照。
(担当: 廣橋大)
※本プロジェクトは、以下の企業から支援を受け運営されています
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GMG