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親友の死を経験して〜大麻と覚醒剤が同じ法律で規制されていることへのもどかしさ〜
40代女性 日本在住公開日:2022年3月22日
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Reading by Cana
18歳とか19歳とかそのぐらいのときに、友達とカラオケに遊びに行って、一緒にいた先輩か友達が持ってて、そのときにやったっていうのが多分初めてなんですね。
そのときは先にお酒を飲んで酔っ払っていたので、自分的にはよくわかってなかったんですけど、後から考えてみたら、あ、あのときのあれがそうだったんだなっていう感じで。それからまわりのお友達とか先輩とかの影響で覚えていったっていう感じですかね。
法律で禁止されているっていうことはもちろん分かってますが、お酒と比べるようになって。お酒って楽しいけど、結構大変なときもあるんですよね。例えば二日酔いで次の日気持ち悪くて何もできないとか。あと次の日に記憶がないことも結構あったりして。大麻の場合はそういうことがないですよね。いろいろ調べてお酒よりは害がないっていうのも分かってたし。
それで自分で使う分は、自分で栽培するようになりました。私の場合は家庭菜園をしてる畑の一角で育ててます。お米と同じで春に植えて、秋に収穫っていう感じで、1年に一度しかできないんですけど、キュウリとかトマトを育てる感覚と変わらないといいますか。植物を育てて、自分で育てたものを、自分で消費することの何がいけないのかなって思えてきて。
兄がいるんですけど、一緒に育ててたから家にあるのが当たり前みたいな、そんな感じだったんですよね。それで結婚して、子供も生まれて、今は主婦として家事をやってますけど、結局そのままずっと続いてます。主人と結婚した決め手も「一緒にやれるから」というのもあります笑 理解してくれる人じゃないと無理だと思ってたので。
だからもう 20年ぐらい使ってて、普通のタバコぐらいの太さぐらいに巻いたのを、一日4,5本ぐらい吸ってます。子供たちが学校行くまではバタバタしてますけど、家事がひと段落したらそこで一服って感じですかね。
大麻を使うと、元々の性格もそうなんですけど、感激しちゃうっていうか。皆さんよくおっしゃるけど、いろんな気づきが多くなるというか。自分と本当に向き合えるというか。例えば「夜景が綺麗」っていうことに、改めて気付いたり。光の美しさなんかが、深く滲みてくるといいますか。言葉に出来ないですけど、何かそういう豊かな感覚になるんですよね。
ここから親友の話になるんですけど、彼女は覚醒剤が好きでよく使ってたんですね。覚醒剤を辞めるのが難しいことは理解してたんで「覚醒剤を使うよりは、大麻の方がナチュラルだからせめてこっちにしたら」って、大麻にシフトチェンジして欲しいって何度も説得してました。でも「葉っぱだとヌルい」って全然聞く耳をもってくれなくて。「違法っていうのは変わりないから、どっちでも同じじゃん。」みたいな。どんなに私が違いを説明しても、ずっと聞き入れてもらえなかったんです。
そんなやりとりをしている最中に彼女がユーイング肉腫(*)っていう病気になって…短い闘病生活を経て、36歳のときに亡くなりました。
最初の頃は「恥骨が痛くて自転車に乗れなくなった」って言っていて、とりあえず整形外科に行ったんですけど、「運動不足が原因だからもっと運動しろ」って言われたって帰ってきたんですよね。
でもその頃には2本足で歩けないから、もうスリッパを手にはめて、四足歩行で家の中を移動してるっていうんですよ。これは普通じゃないと思って再検査を勧めて、大きな病院で検査することになって。
それが数年前の12月頭ぐらいだったんですけど、その年の年末にはもう抗がん剤の治療が始まって。気がついたときには腫瘍が大きくなっちゃってて、抗がん剤の治療も、放射線の治療も効かなくて、手術ができないまま結局1年半後に…。最後は身体中いろんなとこに転移しちゃって…駄目でした。
亡くなった後に、友人と2人で遺品整理をしてたら、通院してたときに使ってたバックのポケットからストローと、アルミホイルと、よく覚醒剤を入れておくパケっていう小さい、ものすごいちっちゃいジップロックみたいな袋があって、中身は入ってなかったんですけど、残骸がそのポケットに入ってて。入退院を繰り返してたんで、途中でちょっと手に入れて、つらい、逃げたい、みたいな気持ちで、もしかしたら使ってたりしたのかなぁと。
覚醒剤と彼女の病気の因果関係は分かりませんが、やっぱり覚醒剤を使うよりは、わたしは大麻の方が身体に負担がなくて、もしかしたら病気になることもなかったんじゃないかって、今でも考えてしまいます。
彼女は法律(覚醒剤取締法/大麻取締法)で規制されてるってことは、覚醒剤も大麻も同じ違法薬物っていう扱いだから身体への影響も同レベルだと思ってたんですよね。もし大麻に関する規制のあり方が日本でも違っていたら、もっと自信を持って勧められたのにって。せめて、医療大麻っていうものがもっと世の中に広く知られていたら、そこから説明も出来たのにって…悔しいというか、一緒にしないで欲しいっていう。依存性が高いハードドラッグと大麻が一緒の「違法薬物」っていう括りにされてることが、本当に歯痒いというかもどかしい…悲しいことです。
親友の影響で私も興味から覚醒剤をやってみたことはあるんですけど、なんか全然楽しくないというか。頭も痛いし、全然面白くないし、なんなんだこれはって思いました。これならお酒飲みに行く方がまだ楽しいかな、みたいな。私は全くハマらなかったですね。
よく「大麻はゲートウェイドラックだ」とか言われますけど、その通りだったら、私も今頃覚醒剤にどっぷりはまってるはずで。でもそんなことはないです。
あと少し前ですけど、合法ドラッグも試したことがあります。要はTHCがダメだから似た成分で、普通の大麻よりはちょっと安いドラッグが出回ってたんですね。あれは本当にやめた方がいいと思います。痺れが来て、金縛りにあったみたいに動けなくなりました。子供が話しかけてるんですけど、ぐぁんぐぁんと声が頭ん中で響いちゃって、何言ってるのかも分からない。体感時間は多分、2〜3分ぐらいですぐ消えたんですけど、大麻と全く違ってこれは危ないぞ、と。合法で安くても、あれは危ないです。
だったら違法だけど大麻吸った方がいいですよね、大っぴらには言えないですけど。
だから、そうなんですよね。やっぱり違法だっていうのが大前提なんで、みんな声が上げづらいんですよね。だから、間違った情報もインターネットでぱっと広まっちゃうじゃないですか。
大麻についても「幻覚を見たり、覚醒剤と同じ」みたいに言われてますけど、20年近く自分で使ってみて、そんなことはないんですよね。その通りだったら私、もうとっくの昔におかしくなってると思うんですよ。
でも子育てもして家事もして、普通に生活してるし。何を正しいと受け取るかは、その人次第ですが、大麻についての正しい情報をみんなが本当に分かってくれたらいいのになって思っています。
大麻に依存はしてないですね。例えると「あぁ大麻吸いたいな」っていう感覚って「ラーメン食べたいな」っていう感じと似てるっていうか。好きなラーメンが食べれたら、美味しいし幸せですよね。だけど食べに行けないなら、別に明日食べればいいじゃないですか。違うものでもいいし。だから大麻吸いたいなって思って、吸えたらすごく幸せで美味しいんだけど、もし吸えなくても、まぁ別にいいやっていう。
「ラーメン好きなひと」みたいな感覚で「大麻好きなひと」みたいな感じ。なきゃないで、別に。何が何でも手に入れなきゃいけないっていう感覚にはなったことないですね。大麻も依存性があるとかって言われますけど、そんなこと言ったら、ラーメンも依存性あるよねっていう感じですよね、私からしたら。
「大麻をなぜ使うのか」と言われたら、考えてみたんですけどやっぱり本能っていうか…まぁ好きだからとしか答えられないんですよ。
大麻の効果によってリラックスしたり、いろんなことを考えて、いろんなことに気がつく。あ、そっかこういう考え方もあるなとか、あの人こういうふうに言ってたけど、こういう気持ちの方が本当なんじゃないのかなとか。深く考えたり、相手を大切に出来たりするんですよね。
あと子どもに対してイライラしたりとかっていうことも…あんまりないですね。それも大麻のおかげっていうか、気持ちが本当に豊かになるんで。大麻を使うことで世間で言われてる虐待とか、そういうのもなくなるんじゃないかなって思ってしまいます。ほんとうに子どもが可愛くてしょうがない。「なんだこれは、かわいいーーー!」ってなるんですよね。
旦那さんとの仲も、一緒に使うと笑いが増えます。特に何かするわけじゃないんですけど、話してても「え、何の話してたかわかんなくなっちゃった」とか言って、ゲラゲラ笑って。笑うことって本当に健康にもいいことだと思うんですよね、いろいろ繋がって。そういうところも広がって欲しいなって思いますね。
子どもたちのことを考えるともちろん逮捕は避けたいですけど、自分が大麻を使っていることや、法律の方がおかしいんだよっていう話は、いつかしようと思っています。
飲酒運転で事故を起こすみたいに、大麻吸って車をぶつけちゃったとか、そういうのが悪いことはわかるんですよ。でも自宅でひっそり嗜んでいることの何が悪いのかなっていう、そういう気持ちの方がやっぱり強くなっていて。
人知れず小さな小さな自分の畑で育てている大麻のことで、もし私が逮捕されたとしても、私は子どもたちに悪いことはしていないって言うつもりです。多分子どもたちもわかってくれると思うので。もしものときは警察には私が行くって、旦那にも言ってますけど…ほんとうに肩身が狭くてですね、嫌になります。
「大麻使用罪」についてのニュースは悲しかったし、なんで世界の流れと逆行してるんだろうかっていう、その理由が知りたいですよね。
アジアの中ではタイが今医療用も嗜好用も許可されたって発表されたじゃないですか。だから子育てが終わったら、タイに移住したいって思ってるくらいです。
覚醒剤も大麻も「違法薬物」っていうことで一括りにしてただ厳しく取り締まるのは本当に時代遅れだと思います。繰り返しになりますが、もしも法律が違えば親友にもっと自信を持って大麻をすすめられたのにって…まだ生きていてくれたかもしれないのにって…今も思い出しては涙をこぼしています。
※ユーイング肉腫(Ewing Sarcoma Family of Tumor)とは?
骨あるいは軟部組織に発生する悪性腫瘍のひとつ。
(以下、国立がん研究センター希少がんセンターホームページ参照)
現在はユーイング肉腫ファミリー腫瘍と呼ばれ、骨以外にも体中の軟部組織のどこにでも発生することがわかっています。主に20歳以下の若年者にみられますが、高齢者にも発生します。主な好発部位は大腿骨、骨盤骨、脊椎です。治療は抗がん剤治療と手術を組み合わせたものが中心となります。
決まった症状はありませんが、痛みは軽度であることが多く、無痛性の腫瘤を伴うこともあります。脊椎が原発だと歩行障害が見られることがあります。転移がなければ生存率は75-80%前後ですが、転移例では手術はできず、生存率は20-25%に留まるとされています。発症頻度はアメリカでは100万人に1,2人程度となっています。
(担当: 生田和余)
※本プロジェクトは、以下の企業から支援を受け運営されています
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GMG
あなたの物語も聞かせて下さい。
インタビューに応募するWho We Are
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正高 佑志 (まさたかゆうじ)
医師。一般社団法人Green Zone Japan代表理事。著書に「お医者さんがする大麻とCBDの話(彩図社)」
Twitter: @yuji_masataka -
三木 直子 (みきなおこ)
翻訳家。一般社団法人 Green Zone Japan 理事。訳書に『マリファナはなぜ非合法なのか?』『CBD のすべて—健康とウェルビーイングのための医療大麻ガイド』『大麻草でがんは治せるか?』他。
Twitter: @greenzonejapan, @indoorcat629 -
長吉 秀夫 (ながよしひでお)
作家・舞台プロデューサー。ステージ制作の傍ら、ジャマイカやインド、北米や南太平洋などを訪れ精神世界、ドラッグ、ストリート・カルチャーなどを中心に執筆。ロック、日本の祭り文化についての造詣も深い。『不思議旅行案内』『タトゥー・エイジ』『大麻入門』(ともに幻冬舎)、『医療大麻入門』等
Twitter: @NagayoshiHideo
Instagram: @nagayoshihideo -
廣橋 大 (ひろはしだい)
看護師。当サイト開発・管理。
「ASA Magazine」ライター。
Twitter: @D__men
Instagram: @d_chan_dp -
生田 和余 (いくたかずよ)
セラピスト。自然療法を生かしたウェルネスケアに従事しつつ、東京工業大学修士課程に在籍し、文化人類学の視点から大麻に関する研究に取り組んでいる。
Twitter: @kazuyo_rk_
Instagram: @kazuyo_rk -
Eiju from Blue Dreamz
ロサンゼルスのマリファナ姐ちゃん。
大麻ショップ店長経験あり。
LAから大麻の情報を発信している活動家
-Youtubeチャンネル登録者数3万6千人
-毎週土曜日ライブ配信「Talking About Weed」
-現地ロサンゼルスでプライベートツアー『ブルドリツアー』を行う
Twitter: @bluedreamzla
Instagram: @bluedreamz_la
Youtube: ブルドリチャンネル by Blue Dreamz -
中本 俊(なかもとしゅん)
WEBマーケティングの支援会社で勤務。
世界一周中に体験した大麻の可能性を多くの人に知ってもらうために活動中。
Twitter: @shun_nakamo -
永井 大貴(ながいだいき)
過去、CBDアイテムを扱うシーシャ屋の運営経験あり。
現在はドキュメンタリー映画制作に取り組みながら執筆活動をしている。
発信活動を通して『愛とは何か?』を伝えていく。
Twitter: @nagaidaiki1996
Instagram: @daikinagai1996 -
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