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なぜあなたは大麻を吸うのですか?
Smoker's Story Project

file #46
逮捕・懲戒免職・離婚〜取り調べで感じた小さな希望

40代男性 日本在住
公開日:2022年2月7日

数年前、30代後半のときに所持と栽培で逮捕されました。当時地方公務員やったんで、新聞やテレビで大きく報じられた経験があります。

去年熊本でおこった事件(*2021年7月に大麻取締法違反の疑いで逮捕された男性が、その後保釈中に自殺した事件)を知ったときは、亡くなった方も辛かったやろうなって想像できて…自分は自殺する度胸も無い人間なんでしてないだけで、もし自分に度胸があったらどうなっただろうとも思いますよね。そのニュースをみた直後に、このプロジェクトの存在を知ったんで、生きてる自分の体験も聞いてくれる人がいるなら話すべきだなあと思って…今回参加させてもらいました。

大麻を知ったきっかけから話すと、最初は10代の終わり、18,9くらいやったと思うんですけど、既に吸ってる友人に誘われたのが初めてですね。音楽がすごい好きなもんで、初めての時も結構でかい音量で音楽聴きながら吸って、一発で音の聞こえ方が全然違うっていうので、はまったって感じです。

最初からびっくりしたんですよ。俗に一発目の「飛び」を超える飛びはもう一生ないよって言われるんですけど、まぁそうなのかなって。聞いてる音楽の世界の中に居るというか、ミュージシャンの表現したい世界感を自分なりに感じれたというか。その音の世界に深く入り込んだような感覚ですね。

あと経験者の連れが飯食ったら美味いよって教えてくれて、カップラーメンを興奮しながら食べたのを覚えてます。めちゃくちゃうまかったです。ぶっちゃけそれまでは危ないもんやっていうイメージだったんですけど、連れが丁寧に説明してくれたり、バチッとセッティングしてくれてたから、不安もなかったですね。

そこから自分でもネットとか本を調べたりとかしました。自分らの年代だったら『マリファナX』がバイブルみたいな感じで。悪いもんじゃないなっていう認識に変わって、全肯定するのはすぐやったと思います。

最初の3,4年間はお金出して買ってました。でも高いし、買ったのにたまに種が入ってるもんで、それを育ててみるかっていう感じで栽培も始めました。最初は失敗することもあったんで、相変わらず買ったり、うまくできたら自分のを吸ったりとかって感じで。逮捕される3年前までは、空いても3ヶ月とかですかね、ずっと続けて使ってました。誰かが持ってたり、常に身近にあった感じです。

逮捕されたときのことを話すと…大麻は野外で育ててたんで2mぐらいになってたんですね。営利目的の栽培の疑いで捜査に入られたけど、実際は自分で吸うためだけだったんですよ。で、向こうも調べるうちにそれがわかって、その上で逮捕された感じです。

自分の場合は、職場に踏み込まれて。ちょうど自分が巻いたやつ胸ポケットに持ってたんで、その場で試薬検査して、反応が出たんでそのまま家宅捜査になりました。

そのときに一番下の子供が生まれて2週間やったもんで、家にいる嫁さんにショックを与えんように、1回電話したいって言ったんですけど、それは絶対だめっていうので、もうそのまま家に連れて行かれて…

いざ行ったら赤ちゃんが居るわけじゃないですか。なんで向こうも人間やし、そこは気にかけてくれてたというか。自分が協力的に道具なんかを渡したんで、それだけ回収したらすぐには出ましたけどね。嫁さんは捜査中は別室にいて絶対に鉢合わせしんようにされてたんで、全然話すことも出来ないまま勾留されました。

その後、あちらの親御さんにも知られて、留置所の中で離婚届にサインをしました。でも、自分も娘の居る身ですから、向こうの親御さんの気持ちも理解できました。

嫁さんも、たまに一緒に付き合いで吸ってくれたりもしてて、悪いもんではないっていうのはちゃんとわかってくれてて。けど法に触れるっていうところで、絶対にばれんとってよとは言われてました。今でも大麻自体は悪くないっていう認識は変わってないと思うけど、もう絶対にやめてくれ、次やったら戻ることは絶対ないよとは言われてます。まぁそうなりますよね、しんどい思いをさせたんでね。

今は嫁さんは戻ることを希望してくれてるんですけど、親父さんに強く反対されているのであんまり会えてないです。子供がまだちっちゃいんで、1日も早く一緒に居られたらと思ってるんですけどね。時間だけが経っていて、毎日モヤモヤした生活を送ってます。

仕事は、逮捕されたときに留置所内で失職してって言う感じで。起訴された翌日ぐらい留置所に職場の上司がもう辞令っていうか、懲戒免職の書類持ってきましたね。

逮捕されたときはしんどいことが多かったけど、そんな中で取り調べを担当してた刑事さんの対応は希望が持てるものだったんですよ。ゆるい感じの会話もあって、それがすごい印象に残ってます。売買の容疑だったら、いろいろ割り出すために高圧的に来たりするのかもしんないですけど。

担当の刑事さんは自分と歳も近くて、取り調べするもんとされるもんの仲やったんですけど、向こうも営利じゃないとわかってるし、自分も所持してたところを押さえられたんで、もうこれは言い訳できないっていうので正直に話してて。だからもうバチバチ対立する間柄でもなかったからか「別に、大麻は悪くないよね。覚醒剤とは違うもんね。」っていう感じで来てたんは意外でした。警官も人間なんやな、みたいな。もしもっと年配の刑事さんやったら違ってたかもしれないですけど、同世代の刑事さんは「ダメ、ぜったい。」みたいな印象は持ってないのかなって。

別の30代位の刑事さんと2人きになったときも「自分の知り合いでも農業やりながらDJやってるやつがおって。」みたいな世間話してきて。だから「その人DJやりながら大麻育ててますね。」って冗談言ったり笑。自分がいる地方の、そこの県民性とかもあるかもですけど、なんかそんな雰囲気でしたね、今思い出すと、ちょっとほっこりする瞬間もあったというか。世の中少しは変わってきてるんかなっていうのを知れたのは良かったです。

留置場って本当に狭い中にずっとおってやることもないんで、取り調べで呼ばれて話す方が楽でした。やっぱ人間って、誰かと話でもしよらんとちょっとおかしくなると思うんで。でも向こうもそれほど調べることがないんで、週に2、3回。1回1,2時間くらいとか、そんな感じでしたね。並行して何回か検察行って検事の調べも受けたんですけど、検事さんは「あなた見せしめにするからね」っていう感じで、ピリッとしてました。やっぱり法治国家なんでね、日本は。

勾留期間は2ヶ月でした。ひょっとしたら保釈申請してもっと早く出られたかもしれないんですけど、国選の弁護士やったんで何だかんだで2ヶ月かかりましたね。裁判は保釈の1ヶ月後ぐらいから始まって、自分は3回ありました。落ち着くまでは全部で4ヶ月ぐらいはかかりましたね。刑期はめっちゃ長くて、執行猶予4年ついたんで、まだ明けてないんですよ。

逮捕される前の5年間ぐらいはおそらくもう毎日吸ってたと思います。自分で栽培したもんを吸ってたって感じですね。「大麻好きあるある」なのかもしれないですけど、何気ない日常でも、やたらイベントにしたがるというか…例えば、ちょっと温泉とか銭湯行こうとか、ちょっと打ちっぱなしのゴルフ行こうとか、日々の生活のちょっとしたイベントごとの前に一服するのが楽しみでしたね。

知らない人からしたら、大麻好きな人らは無理にイベントを作りたがる、みたいなことを言われがちですけど笑。でも何気ない日々の生活の中でも、たくさん楽しいことがあるし、イベントに溢れてるんだよっていう捉え方もできて。それに気付けたのは大麻のおかげでもあると思ってます。

普段はいわゆる晩酌みたいな感じで、ちょっと一服してリラックスするっていう感じで使ってました。お酒は元々すごい好きだったんですけど、付き合いで飲むとき以外ほとんど飲まなくなりましたね。自分の場合、大麻を知ってお酒飲まなくなって、酒がいかに身体にダメージあったのかっていうのに気づきましたね。大麻より酒の方が結構体に負荷かかってると思います。あと寝つきがめっちゃいいんですよ。お酒の場合はトイレに起きたりするけど、大麻はそういうのもないし、しっかり眠れて朝すっきり起きれるみたいな。調子がいいんですよね。

それから大麻好きの友達と一致する意見ですけど、大麻と子育てとの相性はめっちゃいいんですよ。子供の方が純粋で素直じゃないですか。その子らと一緒に遊ぶときに一服してたら自分もそういう純粋な気持ちを取り戻せて、同じ目線で遊べるというか。それはすごい感じましたね。愛情もものすごい湧いてくるんですよね。

あと料理ですかね。料理って、やっぱ食べてくれる人がおるから気合入れて作るとこあるじゃないですか。子供が嫌いな野菜も栄養のことを思ったら食べさせてやりたい、じゃあこの野菜をどうやったら美味しくできるかとか考えながら料理が出来るんですよね。大麻は料理との相性もいいですね。

まぁもう突き詰めていったら全部愛ってことになるんですけど。基本ですね、愛が基本!

大麻と出会ってから、考え方や価値観を根本から変えられてたと思うんですよ。もともと音楽好きやったっていうのもすごい相性がいいんでしょうけど。やっぱ音楽好きな奴って、本質に迫りたい人が多いっていうか、自分も元々そういう考えがあったんですけど、大麻で×(掛ける)100倍みたいな感じになって。それが本当の自分なのかなぁって気がついたというか。

法律で禁止されてるっていうのも当然わかってたんですけど、何か変な話、人間がそれを取り上げてもいいもんなのかなぁ。大麻って、人間が取り上げて規制してもいいもんなのかなぁみたいな考えもあって。人間がそこまでやっちゃっていいの?みたいな。海外は法律でOKなところがある、とかではなくて…もっと人権問題というか、そういう解釈を自分はしてたもんで。捕まって子供にも嫁さんにも迷惑かけてるんであんまりこういうことはね、堂々と言える立場じゃないかもしれないんですけど…

でもあった方が調子がいいんは明らかなんですよ、心身ともに。法には触れるけど、自分が感じているこの感覚っていうのは、間違ってはないっていうのは思ってたので、吸い続けたってとこですかね。で、体験としてわかること以外にも調べたりする中で、一般的に認識されてるような悪いものではないっていうのが理解できて…もう、むしろ、じゃあなぜ禁止するのか?っていう。下手すると、ちょっと陰謀チックなものに引っかかってしまうこともあるんで、注意も必要ですけどね。

他にも、一緒に吸ってたなかまの影響もありますね。家がお寺のお坊さんの連れとも吸ってたんですよ。で、そいつから仏教的な話とか聞きいたりして、すごい興味持って。それまで仏教の教えとか全然興味がなかったんですけど、やっぱり一緒に吸ってたら、深い話になるんですよ。それで今まで自分が全然知らんかった知識を教えてくれて。一服してリラックスしてるときの感じと仏教の考え方も相性がいいのかなって思いましたね。

仏教の話も突き詰めたらそれも全部愛なんですよね。なんやろね、愛に目覚めたんですよね。大麻のおかげで、目覚めたんですよね。それで1回開いたもんは閉じないですよ。1回気づいたものっていうのは、もうずっとそのままなのかなっていう思いもあります。もちろん吸い続けられたほうが調子がいいんやろけど。

人との付き合い方も変わったと思います。例えばムカつく人とか、うまく付き合えない人がおったりしても「あのときあの人がああやって言ったのは、ひょっとしたらこういう思いがあったからかな…」って感じで、物事を深く考えられたり。

やっぱり人間って自分が一番かわいいんで、普段はどうしても自分のええように解釈したりするけど、大麻吸ったら自分も大事だけどまぁ向こうさんのことも考えよう…って相手の気持ちを想像できるように変わりました。そういうのが本質なのかなとも思いますね。大麻に出会う前は、それに気付かず自分のことばっかりやったのかなとも思いますし、今の日本はそういう人も多いのかなと思います。

逮捕されて懲戒免職になってから友達の紹介で飲食店で働いたり、未経験の営業の仕事をしてきましたけど、慣れない環境の中でも大麻に教えてもらった人付き合いの考え方がすごい役に立ってます。

結局愛なんすよ。愛が足りんからカリカリしちゃうんすよね。だから相手がカリカリしよっても、いやもういいよって。もう許すからこっちはあなたのこと全部許しますからっていう気になれて。だからもう革命っすよね。みんながそういう考え方できたら、素晴らしい世界になりますよ。ちょっとしたことだと思うんですけどね、本当。そのちょっとしたことで、やっちゃうんですよね、人間は。バチバチ。だからそこの潤滑油にはもってこいだと思います。

もし出会ってなかったら、どんな人間やったやろとは思いますね。やってなければ、今みたいに逮捕はされてないけど、下手したら生きてるかどうかもわからん。うつになったりしてるかも知れないなって、わからんですね。

大麻のデメリットは…大麻好きと話してても「デメリットはない(喉が渇くくらい)」ってなるんですけど、本音で言うと、その英語で言うところの「lazy」、怠け者になるっていうのは間違いないと思います。マッタリしすぎちゃう。まぁそれを悪いとするかどうかっていうのありますけどね。よく笑い話で言われますけど、日本が戦争負けてからもずっと大麻OKでおったら、ここまで経済成長してないかもしれんね。

アメリカとか他の国なんて、ビジネスとして成立しまくってるじゃないですか。だからアメリカも日本に絶対売りたいはずやし、「お前とこで売らせろや」って言われたら何か一発で状況変わる気もするんですけどね笑。

最近の「使用罪」についての動きは、一通りはチェックはしてますね。多分良い流れではないのかなと思うんすけど、やっぱりあの法律には全くメリットが見当たらないんですよ。全然新しいことを調べてないというか。それこそ何か、陰謀論的な結末というか…どうしてもこの国は、自由を認めたくないのかって、そういうとこなんかを考えてしまいます。こういう活動が広がっていきつつ、国外からの圧力で、いい方向に変わるといいですよね。

親父さんが生きているうちに合法になってくれりゃね、いいなと思ってます。一服つけたいですよね、一緒にね。

(担当: 生田和余)

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