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なぜあなたは大麻を吸うのですか?
Smoker's Story Project

file #21
生きていくための、松葉杖みたいなもの

26歳男性 日本在住

初めて使ったのは専門学校の卒業旅行でアメリカに一ヶ月くらい滞在したときです。ちょうどカリフォルニアで嗜好用大麻が合法になったタイミング(2018年)だったので、機会があれば使ってみたいし、どんな感じなんだろうっていう好奇心もあって。当時はまだ医療目的以外で利用できるディスペンサリーは街にはなくて、専門のクリニックでドクターにライセンスを発行してもらって購入しました。

最初は(効果が)よくわからないって言われてるとおり、自分も気付いたら寝てた感じで。3回目くらいから、独特の身体にくる重さ(ボディハイ)を感じたり、思考がポジティブになったり、あとご飯が美味しくなったり、音楽が気持ちよく聴こえたり…滞在先はベニスビーチに近かったんで、Wake&Bakeっていうんですけど、朝から寝起きで海を眺めながらジョイント吸ったり…旅のあいだのんびり過ごしました。

大麻を吸うと、子供の頃、毎日なんとなく楽しかった感じというか、そういう満たされた感覚がよみがえるのを感じましたね。

4年制の学校に通うなかで、3年時くらいから、就職活動が上手くいかないストレスなんかもあって鬱っぽくなっていって。旅行から戻って、新卒で就職は出来たものの、まわりに合わせることができなくて、結局一ヶ月しないうちに、会社を退職することになりました。

そこから実家に戻って、一年半くらい精神科に通院する生活を送ってました。
最初に行った病院では適応障害って言われたんですけど、詳しく検査したら、ADHDと自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)だって診断されて。不眠の症状もあったんで毎日睡眠薬や、あとエヴィリファイ(抗精神薬)なんかを服用してました。

あと、薬だけだとどうしても一気に効くわけじゃないんで、毎晩泥酔するくらいまでお酒を飲んでて。日本酒に換算すると一日一升くらい。さらに睡眠薬も飲んでたんで、毎朝起きられないし、一日中寝たきり、みたいな生活が続いてました。

酔ってるときは不安も消えていいんですけど、醒めるとさらに鬱が酷くなるっていう悪循環を繰り返してて。でも、飲まないと離脱症状でイライラしたり、不安になったり、焦燥感が出たり…それが苦しくて。

アルコール依存症に関する漫画(吾妻ひでお著『失踪日記2 アル中病棟』,イーストプレス)を読んだことがあったんで、まったくこれと同じ状態に陥ってることに自分でも気がついて、これはもう病院に行くしかないな、と。

それで、もともと半年くらい通っていた精神科の主治医に紹介状を書いてもらって、アルコール依存症を治療するためのクリニックにも並行して通院してました。

でも、精神科やクリニックで処方される薬は副作用が強かったり、うまく効かなかったりして。唯一、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬は効く感じがあったけど、他はなかなか効果が出なかったです。

あのときは、ほんとうに苦しくて……鬱も、アルコールも、どっちも専門機関に相談してるけど、薬も合わないし、自分の置かれた状況が良くなる兆しが全然みえなくて…コロナのストレスもあったし。

駅のホームから電車に飛び込んでしまおうかと、ずっと考えてました。地元の駅はホームドアがついてないんですけど、特急電車とか貨物列車が通るときに…何回も、何回も、思ってました。

もう、にっちもさっちもいかなくなって。
自死するくらいならと、医療大麻のことをあらためて調べて、大麻を使うことを選びました。

もともと大麻を使う前からVICE JAPANの動画(大麻で難病を治す「医療大麻」最前線 )や、山本正光さんの医療大麻裁判のことなんかを知って、医療大麻の問題には関心があって。自分も死ぬくらいだったら、法律は関係ないっていうか、そもそもこんなものを違法にしておくほうが悪いなって思ってました。

使ってみたら、自分でも思った以上の効果がありましたね。
家族と関係が悪かったわけじゃないので、自分が死ぬことを選ぶっていうことが、どれだけ迷惑がかかることなのかって、みんなに申し訳ないっていう気持ちが、使った直後から溢れてきて…ほんとうに涙が止まんなくなって…それから死ぬことが馬鹿馬鹿しくも思えてきて。とにかく生きる希望が湧きました。

一回使うと、だいたい二日間くらいはポジティブになって調子がよい状態でいられる感じでした。最初は薬と併用していて、そこからだんだん薬を減らしながら使い続けてました。ベンゾジアゼピン系の薬は、やめるときにどうしても不快な症状がでるんですけど、そこも大麻で凌いで。半年後には、完全に薬は必要なくなって、病院にも行かなくなりました。

飲酒欲求も、大麻を使うと治まるんで、たまに飲むくらいになりました。量もビール一杯とハイボール一杯くらいみたいな。よく飲んでたときは、友達にもすごい迷惑かけてたんで。クラブにいって、飲みすぎて、朝気づいたら知らないアパートの廊下で倒れてたりとか…大麻で記憶が飛ぶことってないですけど、お酒だと覚えてないこともあって…まぁこわいですよね。

実際、酒が原因になった暴力事件もいろいろあるし、自殺した人の体内からアルコールが検出されることも多いっていうし、ランセット(権威ある国際的な医学雑誌)でも大麻よりアルコールの方が依存性や害が大きいって言われてますよね。大麻に限らず他の薬物に関しても、使うのは本人の自由で、人に迷惑をかけなければ使用してもいいと個人的には思っています。

大麻を使ってのデメリットは、強いて言えば、目が乾くのと、しばらく使ってからやめると、ちょっと眠れなくなることがあるけど、まぁそのくらいです。

今は仕事も再開しました。処方薬はなかなか効かなかったんで、大麻を使ってなかったら、復帰は難しかったと思ってます。見違えるほどに元気になったことを家族や友達も喜んでくれてます。

ただ、そのきっかけが大麻を使ったことだっていうのは、誰にも言ってません。リスクを考えると、親しい間柄でも言わないほうがいいかな、と思っていて。

好きな使い方は、音楽を聞いたり、あとは早朝の散歩をすることです。近くに森があるんですけど、ハイな状態で行くと、まわりの植物の匂いも強く感じられたりして。お水とかコーラとか飲みながら歩いてるだけでただ気持ちがいいし、一日ポジティブに過ごせます。

使用罪に関する議論については、議事録にも一通り目を通して、Green Zone Japanさんの記者会見の動画なんかも観ました。「医療用(医薬品製剤)はいいけど、嗜好用はだめ」っていうのもおかしいし、単純に厳罰化しても、差別や偏見が生まれる原因になりかねないので、創設には反対ですね。薬物依存症の患者さんや支援団体の方も反対されてましたけど、自分も厳罰化しても問題は解決しないと思っています。

日本は「ダメ、ゼッタイ。」っていう学校教育がすごい強いじゃないですか。「大麻=危険薬物」って認識している人がほとんどだっていう状況に、まず問題がありますよね。薬物教育から見直して、根本から変わっていくといいですよね。

自分は、あのとき大麻を選んだから死ななくてすんだ。そういう人もいることを、もっと知ってほしいと思っています。大麻は自分にとっては生きていくための松葉杖みたいなものです。

(担当: 生田和余)

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