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介護の仕事でうつ病に。あの頃の楽しさを思い出して
38歳男性 日本在住公開日:2021年9月20日
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Reading by Dai Hirohashi
高校までは地方に住んでて、卒業後は都内の専門学校に通うため一人暮らしを始めました。初めて大麻を吸ったのはこの頃ですね。
高校時代の仲間たちも何人か同じように都内で1人暮らしをしてたんですけど、その中に昔から大麻吸っていたやつがいたんですよ。当時は好奇心からずっと大麻吸ってみたいって思ってたんですよね。それでその友達から大麻が手に入ったって聞いて、すぐに飛んでいきましたね(笑)
大麻吸った後は一晩中音楽聴いて、おいしく飯食って、おしゃべりして。とにかくめっちゃ楽しかったんですよ!その頃にはクラブにも行くようになって、DJ仲間もできたりして、そこからも麻がまわってきたりして。大麻吸った後に音楽聴くと「神!!!」ってなりますよ。
この時期は周りの誰かしらが大麻を持ってて、吸うには全く困らなかったですね(笑)本当、すごく楽しかったです!
こうやって振り返るとやってることって別に普通っていうか。誰かに迷惑をかけるわけでもなく、ただ楽しんでただけですよね。お酒飲んでる人たちとなんら変わりないと思います。
むしろ今までの飲み会の場が「いったい何だったんだろう???」って思うくらい、大麻では気分がよくなれたし、リラックスできました。話す時も言葉はスラスラ出るし、なんか本心で話せるんですよね。
専門卒業してからも都内で2年くらいフリーターやって過ごしました。本当楽しかったな、この時期は。大麻って素晴らしいものなんだなって知った時期でしたね。
それから地元帰って、スポーツクラブに就職しました。専門が「スポーツトレーナー科」だったので。都内と違って大麻が身近でなくなったため、このタイミングで大麻との付き合いもなくなってました。
スポーツクラブでは5年間働きました。お年寄りの方と関わるようになり、それが意外とやりがいがあって楽しかったんですよね。それで「高齢者と接する仕事が向いてるかもしれない」って思い始めて、スポーツクラブをやめて、デイルームで介護士として働くことに決めました。
期待を胸に始めた介護の仕事でしたが・・介護って結構気を張るんですよね。けがさせたり事故を起こすわけにはいかなくて。高齢者ってそういうことがあると、大きな治療が必要になったり、最悪の場合命に関わったりすることもあるじゃないですか。
なので歩行が不安定な人が立ち上がっただけで「ビクっ!!」てすごい敏感に反応してました。胃ろう(口から食事できない人が胃から直接栄養を摂取するために、お腹の表面と胃をつなげた小さな穴)のある人とかもいたし、日々緊張してましたね。「なんかあったらやばい」「失敗しちゃいけない」ってかなり神経質になってました。
こんな感じで介護士として働くようになってから1年が経った頃。なぜかわからないけど気持ちがザワザワするようになって・・・気づいたら人と全然話せなくなってました。
全ての人に対して緊張するようになっちゃって。職員もそうだし、利用者の方に対してもですよ。以前はあんなに高齢者と関わるのが楽しかったのに・・
それから精神科に通うようになって、薬を飲まないと働けなくなりました。自分なりに「もしかしたらデイルームが合わないのかも」って考えて、今度は特別養護老人ホームで働き始めました。
けど、特養の仕事は内容的にハードで、かつ就業時間も不規則で。それでついに心身ともに完全に壊れちゃいました。飲む薬はどんどん増えていって、ご飯も食べれず、寝れなくなって・・・ついに精神科に入院することになりました。
幸い、入院したら症状はすぐに落ち着いて、1週間くらいで退院できました。当然他の仕事をしたほうがいいって考えたけど、当時は介護しかできることがないって思ってたんですよね。なので結局また介護士に戻りました。その頃は周りの人からも指摘されるくらい、本当に全く笑わない人間になってました。
そんな時ふと思い出したんですよ。専門学生の頃、大麻を吸って楽しんでいたあの時期を。大麻があればまた絶対いい気分になれるよなって。
それでどうしたか。カナダに行って種を手に入れて、自宅でグロウして吸い始めました。
久しぶりに吸った大麻ときたら・・この時の味はマジで忘れられないです!
からだがポカポカと温かくなって、ガチガチにこり固まっていた肩も緩んで、すごくリラックスできました。
吸う直前までは本当「死にたい」って思ってましたけど、「これがあれば生きていける!」「人生楽しくなる!」って思えるようになったんですよ。
ご飯も久しぶりにおいしいって思えて、母に心から感謝し、涙がでました。母とはしばらくまともな会話もしていなかったのに、自然と口から「ありがとう」って言葉がでてきました。
寝る前にはインディカ、日中動きたい時にはサティバって感じで、分けて吸ってました。仕事前にも吸ってましたね。介護士の時はそれがないと仕事行きたくないってぐらいだったので。
別にそれで利用者さんを怪我させちゃったとか、事故を起こしたなんてことはなかったです。
むしろ逆に優しい気持ちになれたし、利用者さんをすごい楽しませてましたね。利用者さんを会話で笑わせることにおいては、めちゃくちゃプロになりましたから(笑)
やっぱ自分が癒やされようになるとギブ精神が生まれますよね。そして同時に自信もつくようになりました。
なにげない日常的な習慣も、大麻を吸っている状態だと質が高くなるような気がします。特に瞑想。瞑想用の音楽を聞きながら頭をからっぽにし、思考を整理するのにはうってつけでした。
そうして大麻を吸いながら暮らすうちに「今自分が本当にやりたいことって何だろう?」って考えるようになり、大好きな自然に囲まれながら働ける農業をやってみたいって思い始めました。
このまま生活に困ることなくお金をもらえる介護の仕事をするべきか、それとも給料は減るけど興味のある農業の仕事をするべきか。少しだけ悩みましたが、退職届を提出して農業を始めることにしました。
農業は本当楽しくてたまらなかったです。人にも恵まれました。薬を飲まなくても精神症状はでないし、やっぱ毎日が楽しく思えるとそういうのってなくなるんだなって実感しました。
ただやっぱ収入が厳しく生活がままならなくなってしまい・・実は今は農業はやめて、業務用の冷凍庫作る仕事をしてます。意外とこの仕事も結構楽しいですね!
なぜ大麻を吸うのか。自分の幸せをかみしめるため、ですね。忘れてたものを思い出させてくれるんですよ。余計なものを求めずとも、今ある幸せを実感できるようになるんです。
世の中的には「金持ちになって、いい車乗って、いいところに住むのが幸せ」って感じすると思いますけど、やっぱそうじゃないですよね。
お金なくて欲しい物はあまり買えないし、車も軽トラしかないですけど、毎日幸せです。だって仕事は楽しいし、優しい彼女と一緒に暮らせてるし、可愛い犬もいるんですよ。これから母も一緒に同居する予定です。
みんなで一緒に過ごせるこんな恵まれた環境があって、これ以上何を望むんだってマインドになれるんです。幸せかどうかは自分の心の持ちようで決まるってことを、大麻は思い出させてくれるんです。
だからなのか、大麻が好きな人って家族を大事にしてる人多いですよね。愛と平和に目覚めてるっていうか。僕もそのうちの1人です。
本当、なんで大麻って違法なんでしょうね。
使い方としてはお酒と同じなんですけどね。実際大麻が合法なところでも仕事中に吸ったりとか、吸いながら運転する人とかほとんどいないですよ。そんないつも吸うものじゃないです。家帰ってきてからとか、時と場所を選んでゆっくりたしなむものです。だから大麻は好きですけど、乱用はして欲しくはないですね。
そういう使い方ができるようになれば、大麻に溺れることもないだろうし、周りから「ゲートウェイドラッグ」とか言われずにも済むし、いい方向に大麻が認知されていくのかなって思ったりします。
SNSだと大麻について気軽に話せるけど、やっぱ世の中の偏見はすごいですよね。大麻の話をするだけで、頭がおかしい人って目でみられますよ。
かといってアンチ大麻の人とは別にケンカしないです。何か言われてもギャフンと言わせる必要なんてないって思ってます。その人にはその人の考え方があるわけだし、納得できる意見もありますしね。否定から入るんじゃなくて、相手の立場に立って考えながら会話するように心がけてます。
とにかくまずは医療大麻が合法化して、世の中の大麻に対する考えが少しでも変わってくれたらなって思います。
そのために自分が何をできるのかは分からないけど、ひとまずこうやってインタビュー受けてお話させてもらってるし、これからも何かあれば積極的に協力していくつもりです。
(担当: 廣橋大)
※本プロジェクトは、以下の企業から支援を受け運営されています
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