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なぜあなたは大麻を吸うのですか?
Smoker's Story Project

file #17
いつか自由に吸えるような場所で過ごせたらという希望で生き延びてきた

25歳男性 日本在住
公開日:2021年9月13日

音声で聴く:

Reading by Dai Hirohashi


生まれたのは墨田区ですが、1歳半で両親が離婚して、埼玉の母の実家で祖父母と4人で暮らすようになりました。

小学校でいじめられるようになって、クラス替えしても抜け出せませんでした。あと小2の時に母が彼氏を連れてきて、3人で住むことになり団地に引っ越したんです。けれどその彼氏が統合失調症で虐待をうけるようになりました。冬場に下着1枚で置き去りにされるとか。吐いたものを飲めとか。

半年後に泣きながら電話したら祖父が助けにきてくれて、それから祖父母と3人で中2まで暮らしていましたが、学校では引き続きいじめられて…そのころはフィクションの世界しか逃避できるところがなかった。休み時間もずっと一人で本を読んでいるようなタイプでしたね。

中2の時に彼氏と別れた母からもう一度一緒に住みたいと連絡があり、横浜で母と二人暮らしが始まりました。高校ではバトミントン部に入ったんですが、そこでもいじめられて、部活はやめることになって。団地に住んでいたからヤンキー文化に巻き込まれ、連れ回されるようになりましたが、あんまり馴染めませんでした。

それで高校2年生の時にTwitterを始めたんです。初めはリアルアカウントだったけれど、色々な鬱憤を吐き出すために裏アカを作るようになって。そこで政治や社会問題のこととか、大麻のことを知ったんです。直感的に大麻が自分にとって必要だと感じた気がします。

実際に初めて大麻を吸ったのもTwitterで知り合った人にジョイントを回してもらって。初めての時はキャッチできないというか。あんまりわからなかったですね。

高校卒業後は看護専門学校に行ったんです。早く独立したかったので。そこで初めてヤンキーじゃない友達ができたんですけれど、宿泊の実習中に、キャパオーバーして失踪しちゃって。そのまま親とも学校とも連絡を取らず1ヶ月くらい友達の家に居候して、そのまま退学することになりました。

専門をやめたあとくらいからですかね、ちゃんと大麻を吸うようになったのは。
色々仕事やってみましたけど、どうしても週5日働くというのが続かなくて。

どうしたらいいかわからない焦りがあって、それで結局、詐欺に引っかかったり、マルチにハマったりして。最終的に借金を抱えて、実家に連れ帰られました。

それから8ヶ月くらい、母の再婚相手の下で建設業の手伝いをして、なけなしの貯金と共に2020年の夏に知り合った彼女の家に転がり込んだんです。

けれど仕事が見つからなくて、二人で貯金を使い果たしてしまって。そのタイミングで彼女に病気が発覚して、自分が頑張って働かないといけなくなって。Uber Eatsの配達をやってましたが、うつが悪化して。だんだん見舞いにもいけなくなりました。最後は風呂にも入れずLineも返せなくなって。警察の踏み込みで解錠されて、実家に送り返されるような感じになりました。

そのまますぐ精神科に3ヶ月ほど入院して、PTSDとうつ病と診断されました。退院後、生活保護を受給する方向になって、一人暮らしを始めています。今は通院しながら薬を飲んで、これから就労支援に通う予定です。

周囲の人から理解されず、社会や人間に対する恐怖で自分の殻に閉じこもるしかなく、孤独なときでも、大麻は僕を優しく解きほぐしてくれました。

大麻って値段が高いじゃないですか。安定した仕事につけたことがないので、いつも吸えてるわけじゃないです。でも大麻を比較的吸えていた頃は、全く動けないとかはなかったですね。

自分には、親への負い目や何かを得るには代償を払わなければいけないというプレッシャーが常にありました。しかし大麻の様々な効果で、無条件に受け入れてくれている自然に対して感謝できるようになりました。自分の存在をそのまま肯定してあげることの大事さや、充足感も感じられるようになりました。効果が切れたあとも、少しずつそういう意識を維持できるようになってきました。

あと、これまで食べるということにあまり興味がなかったけど、大麻を吸うようになってから、食事の喜びを知りましたね。美味しいもの食べたいな、とか思うようになったかな。

他にも大麻は、今自分が置かれている状況だけが世界じゃないということを知るきっかけになりましたね。今がどれだけ厳しい状況でも、いつか大麻を自由に安心して吸えるような場所で過ごせたらいいなという希望を持たせてくれました。だから死にたい時も死ななくて済んだんです。いつか合法化すればいいなと思うし、歴史を作る側に回れたらと思いますね。

(担当: 正高佑志)

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