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なぜあなたは大麻を吸うのですか?
Smoker's Story Project

file #63
今あることに満足して、幸せを感じられる

20代男性 日本在住
公開日:2023年4月19日

初めて大麻を吸ったのは16歳頃。友達の先輩から吸わせてもらったっていうよくある感じのパターンです。お手製のペットボトルボングで吸い、初っ端からしっかりハイに入りました。日本で吸ったのは、それを含め2、3回くらいです。

今はオランダのアムステルダムに留学中で、大学で経営管理学を学んでいます。元々留学したいって思ってたんですけど、アメリカとかオーストラリアは学費が高いんですよね。英語を学べて学費も抑えられるところを探してたら、アムスが候補として挙がってきて。大麻が吸えたり、売春が合法だったりして、自由なところにも魅力を感じたので、アムスに留学を決めました。

アムスに来てから始めの頃は、興味本位でちょこちょこ大麻を吸っているだけでした。その頃は学生寮に住んでて、向かいの部屋にいた韓国人と段々仲良くなっていったんですけど、その友達がとてつもないジャンキーで。それから毎日のように大麻を吸うようになり、ますます大麻が好きになっていきました。

今は彼女の家で同棲してます。ここ1ヶ月くらいはちょっとお金がないのもあって、あまり吸ってないです。大麻は彼女とも友達とも吸うし、1人でもバイト後とかに吸って、音楽を聴きながらバイト先の賄いを食べてリラックスしたりします。

基本的にはサティバを吸うんですけど、人と話す必要がない時はインディカを吸って、ソファに座ったまま溺れていくみたいな楽しみ方をしたりします。僕は「ハイ」を「マインドハイ」と「ボディハイ」と「ビジュアルハイ」の3つに大別してて、このパラメータが品種によって違うので、それを意識しながら必要に応じて品種を選んだりもします。例えば、セックスの時はボディハイが強いものを選ぶとか。セックスと大麻の相性はすごく良いです。

全員が大麻で感じるメリットは、ご飯が美味しくなること(マンチー)と、音楽が心地良く聴こえることですかね。状況によって感じることとしては、仲の良い友達と大麻を吸うと、しょうもないジョークで笑えたりとか、話がすごく面白かったりすることですかね。

人と一緒に大麻を吸うと、不思議な友情とかつながりみたいなものが生まれます。ハイな時に笑ったくだらないジョークを、そのままシラフの時にも持ち込んだりして、どんどん内輪ノリみたいなものができていくんですよ。自分たちにしか分からないことを共有してる感覚が、最終的に仲を深めてくれるというか。これは友達でも彼女でも、誰とでもそうなります。

元々コミュニケーションは苦手ではありませんが、大麻を吸ったら話しやすくなったり、相手との壁を感じなくなったりはします。普段静かめで「そっか」とか「はいはい」とか相づちを打つことが多い友達がいるんですけど、その友達は大麻を吸うとめっちゃ話すようになりますしね。ただ、個人的にそんな仲良くない人とか初めての人がいる場所で吸うと、なんとなくつまんなかったり、だるくなるっていうのはあります。セッティングは大事ですね。

セッティングの話をすると、アムステルダムにコーヒーショップってあるじゃないですか。大麻を買えるだけじゃなくて、ショップの中がカフェみたいになってて、その場で吸えるんですよ。知らない人がいるという意味では若干心地良くないかもしれないですけど、すごいオシャレなショップだと、そのオシャレ感が自分の中で増幅するんですよ。オシャレだな、楽しいな、かっこいいな、みたいな。お気に入りのカフェとかバーとかってみんなあると思うんですけど、大麻を吸うとその場所を気に入る感性がより敏感になるので、増々そこを好きになりますね。

1パフごとに、自己肯定感が上がる感じもします。シラフでも自己肯定感が高まったまま維持されるし、そこで良い思い出を作って、後で「あの時楽しかったな」って振り返ることで、明るい気持ちになることもできます。

それと、これは大麻が非合法だからこその話なんですけど、大麻を吸うと規範意識みたいなものが下がるんですよね。そうなると、普通の人からしたら恥ずかしいこととか、言いにくいこととかに対するハードルも下がるというか。別に非常識になるっていうわけじゃなくて、良い意味で人のことを大して気にしなくなるみたいな部分があります。これも大麻による心理的な影響の1つだと思ってて、自分にとってはメリットになっています。

大麻を吸って音楽を聴いたり友達と話したりするのはもちろん楽しいんですけど、それと同じぐらい、「ハイ」について考えるのが自分にとってすごく面白いです。色んな表現があると思うんですけど、大麻を吸ってハイになると、真っ白なキャンパスになるような感じがします。色んな色が混ざってるところに緑を入れてもよく分からないけど、白しかないところに緑を入れたらはっきり見えるみたいな。音楽を聴けばキャンパスが音楽で埋まりますし、逆に悲しい時とかはキャンパスが悲しみで埋め尽くされるので、バットに入るんだと思います。

大麻を吸うと頭がちょっとバカになるような感じもするけど、考えが整理されたような気持ちにもなるんですよね。それは多分、頭の中にあるたくさんの情報を一旦白紙にして、必要なものだけを取り出せるからなのかなって考えたりもします。きっと大麻は考える能力を上げるんじゃなくて、敢えてその能力を下げることによって、物事をシンプルに考えられるようにしてくれるんだと思います。この白紙になるっていう感覚は、大麻を吸った時に感じる全ての根幹な気がします。

周りに医療目的で大麻を使ってる人はいないですね。けど、嗜好用も突き詰めれば医療用じゃないかなって思います。自分の心の状態を少しでも良くしたいから大麻を吸うこともあるじゃないですか。そこに法的な差があるものなのかなって。まぁ納得できなくはないんですけど、個人の経験から考えると、あまり納得できないなって思います。

半年ぐらい毎日大麻を吸ってた時があるんですけど、毎日吸ってると吸う理由が分からなくなってくるなとは感じました。音楽を聴きたくて吸ってるのか、飯がうまくなるから吸ってるのか、その辺が曖昧になってくるんですよね。毎日吸うのをやめてからは、惰性でなんとなく眠れないからみたいな理由で吸ってたのかなとは思いましたけど。こういう部分を分からなくさせるのが、大麻の心理的依存性なのかなって感じます。身体的な影響は特に出てないです。でも、やめてから3、4日間は寝づらくなりましたかね。研究でも指摘されていると思いますが、経験上これは本当だと思います。耐え難いものではないですけどね。毎日吸いさえしなければ、こういう状態にはならないと思います。自分が毎日吸わなくても平気になったように、大麻は依存性が低いので、ある程度自分をコントロールできる人なら、時々吸って楽しむことは可能だと感じます。

それと、お金がなくなるっていうのも1つデメリットですかね。こっちだと1g10ユーロ(1200-1300円)ぐらいです。大麻のお金もそうですけど、一緒にピザをオーダーしちゃったりとかもするので、どうしてもコストがかさみます。ただ、「もう今月残り1万円しかない」ってなった時は、全然吸わずに我慢できますね。

大麻が危険だと思われているのは、他のドラッグと同じに括られているからじゃないですかね。そして、同じように括られてしまう理由は、他のドラッグの体験談も十分に共有されていないからっていうのがあると思います。

僕は大麻の他に、LSD、MDMA、コカイン、ケタミン、マジックマッシュルームを経験したことがあります。コカインとケタミンはまだ1、2回しか経験がないので何とも言えませんが、MDMAは何回か経験してやばいなって感じたので、最近はもう使ってないです。MDMAはセッティングとか関係なく、無条件でハッピーになるんですよ。何のコストもなく、楽しもうとする必要もないんです。脳みそからセロトニンとドーパミンが出て、ただそれに溺れるだけで楽しくなれます。そのせいか、次の日から1週間ぐらいは全然楽しくなかったり、疲れを感じやすくなったりします。

さっきも言ったように、大麻はただ白紙にしてくれるだけで、そこに何を描くのかは自分次第なんですよ。悲しい状態だったら、悲しさが描かれてしまったりとか。大麻で楽しむためには、ある程度コストを払わなきゃいけないんです。なので、大麻とMDMAは明らかに同じ括りにされるべきではないと感じます。

LSDも合法になるべきだって声があったりすると思うんですけど、それも自分の中で納得がいってます。大麻と同じで、溺れていかないんですよね。ちゃんとセッティングしないとバッドに入るし、自分で能動的に楽しもうとする準備が必要なんです。音楽を用意したり、部屋を綺麗にしたり、パソコンを開いておいたり、ある程度コストを払う必要があります。12時間ぐらいハイになるんですけど、お酒と同じように呑まれないようにできる性質もありますし、変にもっと欲しいって感覚にもなりにくいです。こういった経験から、LSDも別にいいんじゃないかなって思います。

LSDもマジックマッシュルーム(シロシビン)も幻覚剤ですけど、LSDはマインドのほうによく効いて、マジックマッシュルームはビジュアルのほうにより効くっていう違いがある気がします。

大麻を吸うとスッキリした感じになるのは何故だろうって思ってたんですけど、日常の小さな幸せに気づいて、単純に幸福感が上がるからってだけなのかもしれないですね。友達との話が面白いとか、ご飯が美味しいとか、音楽がすごい良いとかって、普段どこか忘れがちじゃないですか。忘れてなかったとしても、大麻を吸うとその部分に集中して幸福感がより大きくなるから、余計なものに対する意識が薄まって、スッキリしたように感じられるのかなって。自分が満ち足りてるってことを知るみたいな感じです。食べるだけでも楽しいよって。この影響はシラフでも全然あると思います。

これを否定する人は、「成長を望まなくなる」とか「怠惰になる」とか言うんですけど、そもそもその成長は誰によって定義されたのか。そんなことを考えるきっかけも、大麻は与えてくれると思います。今あることに満足して、幸せを感じられる。これが大麻の最終的な効果なのかなって気がします。

(担当: 廣橋大)

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