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なぜあなたは大麻を吸うのですか?
Smoker's Story Project

file #61
大麻が「違法」でなければ、「合法」であるお酒に追い込まれることはなかった

41歳女性 日本在住
公開日:2022年11月7日

10代の頃からうつっぽい症状があって、後から振り返るとPTSDだったんですよね。幼い頃に叔父から虐待を受けてて、今でもその記憶が鮮明に残ってます。それがきっかけで強迫性障害も発症しました。人が触ったものを触れなかったり、他にも整理整頓できていないのが嫌で、1つ斜めのものがあるだけでも頭の中が「ワー」ってなったりしました。

母はいわゆる毒親って言うんですかね。宗教にハマったりとかしてて、個性の強い人です。父親はすごく良い人で、今でも本当に助けられています。当時両親に叔父の虐待のことは話していませんでしたが、実は母は気づいていたんじゃないかって思っています。

20歳ぐらいの頃、ちょっとしたきっかけで友達と初めてクラブに行きました。「何この世界、すごく楽しい!」ってなって、それからクラブに入り浸るようになりました。2、3年は毎週通ってましたね。自分で友達を集めたりとかして、イベントのオーガナイザーもやってました。真面目な性格でそういう場所とは無縁だったんですけどね。でも嫌なことを忘れられて、本当に楽しかったんです。

クラブで友達に薦められて、初めて大麻を吸いました。はじめの頃はよく分からなかったですね。というのも、同時に色んなドラッグが出回ってて、どれが大麻の効果なのか把握できなかったんですよ。当時の流行はMDMAでしたが、覚醒剤以外のものは全て使用したと思います。ドラッグは次の日にしんどくなったりして体質に合わなかったので、最終的には大麻だけを吸うようになりました。

大麻を吸うと、音楽も映像もすごく良く感じますね。後、10年くらいダンスをやってたんですけど、吸った状態だと自分の世界に入り込んで身体を動かすことができて、かなりパフォーマンス上がりました。振り付けは覚えられなかったですけど(笑)

それと特に良かったのはコミュニケーションですかね。社交性が上がって、人付き合いにすごく役立ちました。他にも吸ってリラックスして映画を観たりするのも好きでした。

何よりも大麻を吸うと、嫌な記憶や考えから離れることができました。毎日吸ってましたが、特に嫌な感情が沸き起こりそうなゾワゾワっとした感覚がきた時に吸ってましたね。辛かった過去でもなく、不安な未来でもなく、ただ今に集中することができました。薬の代わりになるくらい、本当に救われてました。

この頃周りの友達はジャンキーばかりでしたが、時が経つとともにその環境を変えたくなったため、地元に戻ることにしました。地元では最初保育園で働いてましたが、教員免許をとるため再び大学に通い始めました。

この頃も勉強した後とかに、毎晩大麻を吸ってリラックスしてました。大麻を吸ったら記憶力が低下するっていうけど、3ヶ月勉強して無事教員採用試験に合格できました。「全然大丈夫じゃん!」って思いましたね。大して頭も良いほうじゃなかったので、周りの友達もびっくりしてました(笑)

当時付き合ってた彼氏がいて、遠距離恋愛をしてました。彼は都内に住んでいたので、都内の小学校の採用試験に合格して、そこで務める予定となっていました。もう結婚するって感じだったんですけど、残念ながら都内に行く前に別れることに。地元を出る意味を失ったので、来年度に向け、そのまま地元で再度勉強に励むことにしました。

この頃あたりから、大麻を吸うと変に勘ぐるようになりました。「こんな犯罪を犯すようなことをするなんて、私はだめな子だ」って自分を責めるようになって、高揚感を感じることができなくなりました。なので大麻をやめ、代わりに合法であるお酒を飲むようになったんです。この時は別に飲まなきゃいられないほどの状態ではありませんでした。

もともと学費を稼ぐためにホステスで働いていたのですが、その年の試験に失敗したことをきっかけに、本格的にホステスとして働くことになりました。お店の売上のために飲まなきゃいけないと思い、頑張ってお酒を飲んでましたね。今思うともっと賢いやり方はあったはずなのに、当時は真面目すぎてそういう工夫ができなかったです。

こうして徐々にお酒を飲む量が増えていき、活力を失っていきました。お酒でやらかすことも増え、友達も周りからどんどんいなくなっていきました。病院にて、アルコール依存症との診断。夜は眠れず、眠剤と抗うつ薬とお酒を飲んで対応していました。一番ひどい時は朝起きてすぐに飲んだり、アルコール度数25%の焼酎を500mlのペットボトルに移して、ジュースみたいに飲んだりしてました。

結局、辛い記憶を忘れたかったんですよね。もはや死ぬつもりで飲んでました。PTSDは対症療法しかないってことに絶望していましたし。そんな生活を7年ほど送り、集中治療室に運ばれるほどの状態となりました。

今は通院をしながらセルフケアを行い、夫と安定した生活を送っています。母とは決別しました。何度か距離を縮めようとしたのですが、その度に当時のことが頭をよぎり、傷ついてしまってたんですよね。いざ決別したら、すごく生きるのが楽になりました。

昔は辛い記憶から逃れるために大麻を吸っていたけど、結局大麻が違法であるがために吸うことができなくなった。結果としてアルコールにどっぷり浸かってしまい、友達は離れていき、死にたいとすら思うようになった。合法だけど身体に悪いアルコール。違法だけど身体に良い大麻。どう考えても法律が“健康で文化的な最低限度の生活を営む権利”の邪魔をしています。

私と同じように、現実を忘れたいからっていう理由でお酒を飲んでる人って多いんですよね。そういう人って、その夜を越えられるかどうかって人も多いんです。なので1日でも早く大麻を解禁できれば、それだけ多くの人を救えると思っています。

大麻にデメリットがあるとすれば、運転ができないことぐらいじゃないでしょうか?勉強には影響なかったですしね。判断能力は鈍るかもしれませんが、逆に別に決められなくてもいいやって気持ちにもなれます。なのでまぁ、大切なことを決める時には吸わなかったですね。上手く活用すれば、別に困る状況にはならないです。

今大麻に反対している人たちも、不意な出来事をきっかけに、私と同じような苦しみを突然抱えるようになることは全然あり得ると思います。たまたま事件現場をみたりとか、愛する人を突然亡くしたりとか。そういう時に大麻やカンナビノイドの有効性を知っているかどうかで、人生は大きく変わってくると思います。なので情報をどんどん広げていって、選択肢を増やせるようにしていきたいです。まずはCBDを知ってもらうだけでも効果があると思っています。

私の夫は典型的な大麻反対派なんですけど、今ではかなり理解してくれるようになりました。大麻が合法になったら、考えは完全に変わると思ってます。違法か合法かってだけで認識は大きく違ってきますから。いつか大麻が合法化されたら、夫と2人で吸って、ボーッとしながらゆっくり映画でも観たいです。

(担当: 廣橋大)

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