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なぜあなたは大麻を吸うのですか?
Smoker's Story Project

file #41
大麻に導かれた旅路と辿り着いたドイツの大麻事情

40代女性 ドイツ在住
公開日:2022年1月24日

サッカーの香川選手が住んでいたドルトムントから1時間くらいの小さな町の大学で、日本語の講師をしています。日本語コース、人気あるんですよ、アニメの影響で。毎回満員です。私は観ないからよく知らないんですけれど。

出身は千葉県の松戸で、遊びにいくのは東京でした。大学に入ってから海外旅行に行くようになって、初めて大麻に出会ったのはニューヨーク。その時は友達と2人で、現地にその友達の知り合いの日本人がいて、そこに2週間くらい泊めてもらって。その彼が吸っていました。19歳のときかな。一緒に行った友達は一緒に吸っていたけれど私は見ていただけでしたね。

それから帰ってきて付き合い始めた彼氏が実は好きで…ちょいちょい私がイケるタイプなのか探りを入れてくるんですよね。私はテクノを聴いていて、その周りの人たちには好きな人が多かったので、音楽の趣味的にコイツはイケるんじゃないかと思っていたんじゃないかな。

彼とだったら一緒に吸いたいなと思って、それが初体験でした。でもそれは酷いもので笑。車に乗ってドライブしながらで、全然大したことないなーと思ってパカパカ吸っていたら、いきなりキマって、車がすごく速く感じて。今すぐ止めないと!ってパニックでしたね。それ以降、吸ったら運転しないと誓っています。普通に運転できる人はできるみたいですけれど。

それ以降、その彼とフェスに遊びに行くようになって、大麻は匂いでバレるということで、他のドラッグに移行していきました。キノコ。LSD。MDMA。コカイン。

彼と別れた後もフェスに遊びにいく習慣は続きましたね。でも私にとってハードドラッグはパーティーを楽しむためのもので、それ以外のセッティングでは使わなかったので、多くても月に1回とか。

そんな感じで東京で働きながら暮らしていて、28歳の時にそれまでの貯金でオーストラリアへワーホリで行ったんです。そこで今の夫になるドイツ人の彼と出会った。2008年のこと。彼も大麻が大好きで、それからずっと一緒に大麻に導かれての旅路です。

当時のオーストラリアはゆるくて、ヒッピーっぽい人を見つければ手に入ったんで、朝から大麻を吸いながら葡萄を摘む暮らしを1年ちょっとして。それから彼と共にニュージーランド、インドを転々と。31歳のギリギリでドイツのワーホリビザを取り、彼を追いかけてドイツに渡りました。

彼の地元に住むと、周りもスモーカーの友達が多いんですよね。自然と溶け込むことが出来ました。一緒に吸うというのが一つのポイントなんですよね。

それからカナダへ。いく先々でやっぱりスモーカーになんとなく惹かれ合う。住み込みで働いていた野外結婚式場のオーナーが、実は裏でグロワー兼ディーラーで。倉庫を改装して違法に大量に栽培していた人だったり。

それからアメリカへ渡って。2011年のカリフォルニア。手違いで借りたオープンカーで高速道路を走っていると大麻の匂いがするんです。きっと道沿いに広大な(でも合法な)大麻畑があったんでしょうね。これがアメリカか!って。

それ以降は腰を据えてドイツに暮らし始めて、1年くらいしたところで妊娠して入籍しました。今、こどもが8歳と4歳です。

大麻に求めるものはその時々ですよね。パーティーを楽しむため。家だとリラックスするため。よく寝るため。CBDは使ったことがないですね。今のところ健康なので。

コロナで暇過ぎて、毎日昼から吸っていましたが、別に生活に差し障ることはないです。ご飯もつくるし。軽くキマってスマイルをキープできる量ですよ。今はちょっと控えていますけれど。

ドイツでも所持、販売は違法。でも違法と言っても、日本であるようなすごい少ない量で捕まるということはないと思います。高速で警察のドラッグチェックがあって、夫は尿検査で陽性になり1ヶ月免停でした。罰金はなかったかな。それ以降は気をつけていますね。

手に入れるには、知り合いづてに買うことになります。自分達が吸っているからだと思うけれど、周りには吸う仲間が多い。実感としては喫煙率30〜50%くらいかな。でも吸わない人も別に寛容で、ジョイントを回していても拒絶反応を起こす人は少ない。リキッドとかVapeとかはみたことがないです。

私たちの世代になると大麻以外のドラッグは見かけないかな。他のドラッグはもしやっていても、みんなの前ではやらないと思う。いい歳してハードドラッグはバカにされる感じ。

医療大麻は合法だと思うけれど、周りで使っている患者はいないですね。保険適応にはなっていないと思う。身近で簡単に医療大麻が手に入るという環境ではないです。専門の病院とかも探さないといけないんじゃないかと思います。

希望的観測かもしれないけれどドイツでは2〜3年くらいの近い将来に、嗜好品は合法になる気がします。メルケル政権が終わって、新しい政権も理解があるし。特に緑の党はマニフェストの上の方に大麻のことが書いてある。若者に一番人気の政党ですね。

最近は地上波で大麻についてのポジティブなドキュメンタリーを見かけるようになっています。NHKみたいなチャンネルで。スーパーとかドラッグストアで大麻成分の入った商品がどこでも手に入るし。ヘンプ製品ですね。CBD製品はまた別みたい。

あと最近、ヘンプラビリンスというヘンプ畑の巨大迷路ができましたね。とうもろこし畑の迷路が伝統的に有名なのだけれど、それのヘンプバージョン。もちろんハイになる成分はないものですけれど。ファミリー層のお出かけ先として人気です。スタンプラリーみたいになっていて。子供にも大麻について良いイメージを教えやすいです。日本にあったら面白いのに笑

大麻が好きな人って傾向としてナチュラリストが多い気がします。エコ意識が高くて、ベジタリアンやヴィーガンが多くて、環境に優しいライフスタイルを心がけている。買っては捨てを繰り返す人より明らかに環境負荷が低いのに。なんでこのライフスタイルを持つ人が罰せられるの?って感じです。

初めはそういうカルチャーに興味がない人も、日々吸っていくうちに出会う人の影響や精神作用で、だんだんサステナブルな方向に引っ張られていくんだと思います。環境意識の高いドイツというお国柄もあるかもしれませんが。

私はドイツに骨を埋めることになりそうだけれど、日本も喫煙率が上がって、そうなっていくといいと思う。いつかこそこそせずに堂々と吸える社会になるといいですね。

(担当: 正高佑志)

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