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このまま吸い続ければ、処方薬をやめられるかもしれないんです
41歳男性 東北在住公開日:2021年11月13日
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Reading by Dai Hirohashi
初めて大麻を吸ったのは20代前半の頃。よくありがちな先輩にすすめられてって感じです。ある日ひょっこり自分のところに持ってきて、「吸ってみな」って言われたんですよ。しかもまさかのチョコ(ハシシ)(笑)「吸ったらどうなるんだろう?」っていう不安はありつつも、吸ってみました。けどなんだかよく分からず、別に何ともなかったですね。
2回目にはガッツリきました。よく覚えてます。他の友達とうちで遊んでたんですけど、その時また先輩がうちの近くにたまたま来てたみたいで、「ちょっと出てきな」って連絡きたんです。それで行ったら車の中で吸わせてくれたんですよ。ドライパイプでがっつりと。
車から降りたら「おやっ?」てなりましたね(笑)これで友達のところ戻っていいのかなってなりました。まぁ戻るしかないんで戻ったんですけど、友達からはどうやらめっちゃ眠そうにみえたみたいです。「目真っ赤だよ」とも言われました(笑)夜だったこともあって、気を使ってみんな帰ってくれました。そのまま朝まで寝たのか寝てないのかよく覚えてないです。
それからもその先輩がちょこちょこ吸わせてくれて、大麻に興味を持つようになりました。それで先輩グループの中だけじゃなくて、気の知れた仲間とも吸いたいって思ったんですよね。問題は大麻をどうやって手に入れるか。むやみに先輩には頼りたくないし、かといって反社の人たちにお金を入れるのもばからしい。結果、自分で育てることにしました。
今じゃちょっと怖いですけど、当時(17,18年前)はネットで普通に種が買えたんですよね。もともと人と違うことをしているのが好きで、大麻を育てるのはすごく楽しかったですね。いかにおいしい野菜を作るかっていう感覚と似ています。その頃は情報もなかったから、肥料や光も試行錯誤してました。
育てた大麻はほとんど自分しか使いませんでした。味や品質は落ちますけど、1回の収穫で2,3年は持ちました。
使い方としては晩酌みたいな感覚でした。毎日寝る前に一服するって感じです。後はクラブに行く時に巻いて持っていったりとかしてましたね。吸ったほうがより気分良く楽しめたので。
色んなシーンで吸いましたけど、大麻は一人で吸うのが一番好きですね。気の知れた仲間と吸っても楽しいんですけど、一人のほうが気を使わなくていいんですよ。眠くなったらすぐに寝れますしね。
18歳から就職して働いてたんですけど、会社の上司がクセの強い人で、パワハラがひどかったんですよ。それで毎日すごい気を張って働いてたんです。
気づいたら20代半ば頃から胃の不快感がずっと続くようになり、ソワソワするようにもなってました。市販の胃薬を飲んでも、全然効かない。さらには毎朝のミーティングで例の上司が話すんですけど、その時だけ高い山にいる時みたいに、耳が全く聞こえなくなるようになりました。
それでどうにもならずに病院を受診したら、ストレス性の”不安神経症”と診断され、精神薬を処方されるようになりました。
会社の上司が原因でこういう精神状態になってしまったので、辞職することにしました。それで気が楽にはなりつつあったのですが、今度は直下型の大地震があったんですよ。寝起きを襲われたこともあって、それから夜になるとすごい寒気みたいのを感じるようになって、眠れなくなってしまったんです。この恐怖感は経験した人にしか分からないと思います。
それでまた病院に行ったら今度は”PTSD(心的外傷後ストレス障害)”と診断され、眠剤も処方されるようになりました。それから10年以上ずっと処方薬を飲み続けています。
処方薬を飲み始めた頃はまだ大麻を嗜好用としか考えてなかったんですよね。大麻も常に手元にあるわけじゃなくて、栽培した分を吸いきったら、次の種を入手するまで期間が空くって感じだったんです。別になければないで気になりませんでした。そう考えると大麻に依存性は感じないですね。
ここ2,3年ぐらい前から大麻を医療用として自覚し始めて、常備するようになりました。処方薬をやめたいって思うんですけど、やっぱ簡単にやめられないんですよね。飲まないと離脱症状がでて体調が悪くなるんです。長い間飲んできたけど、やめようとして初めて自分の薬がやばいんだなってことに気がつきました。
一気に止めようとしてもだめだったので、少しずつ減らすようにしました。夜だけ処方薬を飲むのをやめて、大麻を吸うことにしたんですよね。落ち着くし、夜も眠れましたね。それでやっと去年のはじめに抗うつ剤を1種類やめられたんですよ。多い時で5種類の薬を一日に3回飲んでましたけど、今では3種類の薬を一日2回にまで減らすことができました。
全部大麻にできたらいいですけど、さすがに昼から吸いたくなくて。お酒だってそんな昼から飲まないじゃないですか。
なので日中のために、CBDも試したんです。薬の代用になる実感はありました。けど、やっぱ値段が高いですよね。症状が楽になるくらい安定的にCBDを摂取するのって、金銭的に厳しいんですよね。結果、日中は処方薬を飲んでます。
家族の中で妻だけが大麻を吸っていることを知っています。出会った頃は大麻のことを全く知らない人でしたけど、説明したら理解してくれました。息子には、学校では悪いものって教わるかもしれないけど、世界では色んな使われ方をしてるんだよってことは教えています。
ちなみに家族はみんなCBDを使ってます。妻は偏頭痛持ちですが、CBDベイプを吸うとすぐに良くなりますし、子どもは皮膚トラブルや虫刺されなどにバームを使用すると、効果テキメンです。
あと、もともとお酒とタバコもやってたんですけど、大麻を定期的に吸うようになってからはやめましたね。やめようと思ったわけじゃないんですけど、普通にいらないなって思えるようになりました。
でも実は・・去年逮捕されそうな出来事があって、メンタルをだいぶやられてしまったんです。最近は落ち着いてきましたが、勘ぐりの毎日で。せっかく減薬できた薬を増量したくなくて、またお酒は飲むようになってしまいました。あとは頑張ってCBDを買って併用することで、薬の量を増やさずになんとか症状をコントロールしています。
その出来事があって大麻も一度処分してしまったので、今吸っているのは愛好家だったら捨ててしまうような、リーフとか茎の部分です。それだけでも吸わないよりは全然効果あるので・・でもそれももう底がつきそうです。
とにかく、大麻取締法がすべて邪魔しています。僕にとって大麻は生活の一部になっていますが、普通に生活してるし、仕事もしてるし、何もおかしいことはしていません。どこに違法性があるのか全くわかりません。
本当は大麻のおかげで減薬できたってことを声を大にして言いたいんです。このまま続ければ、今飲んでいる薬を全てやめられるかもしれないんですよ。それに周りには僕よりもたくさん薬を飲んでる人もいるんです。そんな人にすすめたいんだけど、すすめられない。CBDですら難しさを感じるくらいです。
大麻は国を良くするものだと思うんですよ。医療面もそうだし、環境面にだって貢献する。経済的にも潤うはずです。
確かに大麻は普通の人には必要ないと思います。でも救われる人は多いんです。特に精神的な症状や問題を抱えている人にとっては、必要なものだと思います。
もし自分の親や大切な人が病気になってしまった時、気持ちよく”大麻”という選択肢もすすめられるような世の中になって欲しいと、心から願っています。
(担当: 廣橋大)
※本プロジェクトは、以下の企業から支援を受け運営されています
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GMG