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なぜあなたは大麻を吸うのですか?
Smoker's Story Project

file #23
「指折りの一般人」の大麻体験

27歳男性 日本在住
公開日:2021年9月27日

音声で聴く:

Reading by Dai Hirohashi


大学を卒業して、今はごく普通の、いわゆる「サラリーマン」として働いて5年目になります。社員数500人程度のそれなりの中堅企業で、会社の体質もTHE日本の企業的な−基本は年功序列で、働き方改革と言いながら残業もあるみたいな−そんなところです。自分はそれほどやりづらさもなく、まぁ順応して働けています。

体調も良好で、精神的につらいことも今は特にないんで、医療大麻とかは自分には必要ない感じではあるんですけど、Twitterでこのプロジェクトを知って。「普通の人」にフォーカスした企画だっていうのをみて、今回参加しました。

他の方のストーリーを読ませてもらうと、大変な経験をされてる方が多いなぁっていう印象だったんですけど、自分は波風のない人生を送ってきて、その中で大麻に出会ったっていう。喫煙者のなかでも「指折りの一般人」だと勝手に思っています。

最初は二十歳になったくらいの、大学生のとき。当時たまたまHIP HOP好きの集まりで、家がすぐ近所っていうレベルで地元が同じ先輩と知り合って。10歳くらい年上の人なんですけど、その先輩とクラブに行ったりして遊んでるうちに「吸ってみるか?」ってすすめてもらいました。よくある感じですよね。

HIP HOPは中学生のときくらいから好きで聴いてたんで、そういうカルチャーがあるっていうのは知ってましたけど、大麻ってエンタメの世界のもので、半分現実じゃないっていうか、自分がそういうものに実際に関わることはないんだろうなぁってずっと思ってました。

何て言うか、大麻って偏見かもしれないですけど、中高のときとかに煙草とかカツアゲとか万引きとか「ちょっとした補導経験があったりする人」にとって身近なものだって思ってたんですよね。僕はほんとうに普通で、そういう経験も全然なくって。まわりにもそういう友達もいなかったし。だから自分も世間一般が持つ偏見を持っていました。

初めて使ったときは、めっちゃいいとは思わなかったです。緊張してたんでちょっとバッドに入りつつ、でもスナック菓子はおいしいなぁみたいな。ドライブしてて、たしかDMXなんかがかかってたんですけど、精神的にキテるなぁっていうのは体感しました。良く聞く感じですけど、音楽がはっきり聞こえたり、車のスピードが早く感じられたり、ちょっとグルグルしたり、感覚が敏感になってポケットの中に入ってる鍵の感触が違ったり…そんな感じです。

その後、先輩と遊ぶときに分けてもらって使っていくうちに、徐々に大麻の良さがわかるようになってとても好きになりました。クラブに行ったり、銭湯に行ったり、ご飯を食べたり、ただボーっとしたり。その方とは今でも交友があるんですけど本当に感謝しています。

それから就職して社会人になりました。引っ越して地元からも離れちゃうんで、もう吸うことはないだろうなって思ってたんですけど、就職先でもたまたままた縁があって。よく行くショップの歳が近い店員さんと仲良くなって、いろいろ話してるうちに、話の流れで「どうですか?」ってすすめてもらいました。

自分で買うってことはほとんどなくて、その友達と一緒にクラブ行くときとか、ご飯食べる前後とか、開放感を味わいたいときに少し使う、みたいな。お酒飲むのに近い感覚ですかね。そんな感じで就職してからも使ってました。頻度は2ヶ月に一回くらいとか、それくらいでした。

それから5年ほど経ち、最近結婚もしたんで、もうあんまり吸わない方がいいのかなっていう状況で、今に至る感じです。これまでも今も、手に入れようと思えば手に入るし、吸おうと思えば吸える環境にはあったんですけど、そこまでしなくていいかなって。タイミングが合って、また機会があればって感じです。

僕はいろんなコミュニティに属してて…たとえばHIP HOPが好きだったり、大麻が好きな人たちのグループもあれば、学生のときからの友達、あと会社とか。普段の付き合いの大部分を占める友達や家族は、僕が大麻が好きっていうのは知らないと思います。基本的には「怖いもの」っていう印象があると思うんで、特に話したりはしないです。

自分にとって大麻は完全に嗜好品ですけど、ストレスフルな現代社会の中でご飯が美味しく感じられたり、楽しくなったりとか、そういうのも大事なことだなって思ってます。

ただ今の法律だと、逮捕されるリスクを負ってまで…っていうのがあるんで。逮捕されるといろんな人に迷惑がかかるし、会社をクビになるとお金にも困るし、自分はそんなにクリエイティブな仕事をしてるわけでもないので…罰金刑くらいだったら、もっと吸ってるとは思いますね。

救いのためだったり、病気でキツくて大麻がないと大変な人がいるっていうのも耳にするし、合法化されれば、それはそれでもちろん嬉しいけど、そこまでいくのは難しいだろうなぁとも思います。一般的に、日本は学校教育で「大麻は悪いものだ」って教わってきた人が多いと思うんで、国民感情が変わるのには、時間がやっぱりいっぱいかかるんじゃないかと。

相当な苦労をされながら合法化活動をしている人はすごいなぁとは思います。このプロジェクトを含め、実名で活動をされている方は本当に心からリスペクトしています。ただ、自分は今の生活もあるんで、関心はあるけど何か行動を起こすことはないかなぁ、とも思ってます。

あと、今の大麻合法化活動に積極的な人とか、表立って参加できる人っていうのは、言い方があれですけど「逮捕上等」的なところがあるというか、世間一般の認識とかけ離れた人も多いんじゃないかと、そこは気になってます。

そうすると、それを見た一般の人との距離がまた広がってしまう気がしていて、そのアプローチはちょっと違うんじゃないかなって思うことも正直あります。例えば「みんなでデモで歩きます」っていうのは、それはこのコロナ禍のご時世、本当にいいアピールなのかな、とかは考えてしまうんですよね。

もっと違うアプローチもあるんじゃないかなってこととか、いろんなユーザーがいるんだっていうことを示したかったっていうのもあって、今回このインタビューに参加したところはあります。何て言うか、積極的に大麻を肯定して、そういった活動に参加しているわけではないけど、大麻を好きな人はいるっていうことも知って欲しいっていうか。もっとごく普通で、身近なもので別に特別なものじゃないし、特別な人だけのものでもないっていうのを知って欲しいと思っています。

(担当: 生田和余)

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